10歳以上の猫の30~40%が慢性腎臓病にかかっているといわれています。猫の死因でも“がん”とならんで1‐2位を争っています。「 猫の宿命 」とも言われている慢性腎臓病とはどのような病気なのでしょうか。
そもそも腎臓は、体内の水分量を調整したり、老廃物を尿から排出する働きをしています。詳しい原因は分かっていませんが猫は他の動物と比べて腎臓の機能が衰えやすい動物です。
まず腎臓の機能が落ちてくると薄い尿をたくさんするようになります。これは身体の水分を留めておくことが出来なくなっているサインです。これと同時に、必要以上に体内から水分が失われるため喉が渇き水をたくさん飲むようになります。この段階でも生活は普通に送れるため、水を少し多く飲むようになったからと言って病院を受診することはあまりないように思います。
やがて腎臓病が進行すると老廃物をうまく排出できなくなり尿毒症の状態になります。食欲の低下や嘔吐などの症状が認められるようになり、多くの場合、この時初めて病院を受診することになります。このような症状が現れている場合、すでに腎臓の機能の70%以上が失われている状態で、一度失われた腎機能が回復する可能性はほとんどありません。
腎臓病は治ることがないため治療の目的は、つらい症状を軽減し、進行を遅らせることが中心になります。早期に腎機能の低下を見つけることが出来れば、生活習慣を改善したり、お薬で治療することで大幅に余命を延ばせる可能性が高まります。1日でも長く一緒に過ごすため、腎臓病検診をご活用ください。